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2018年度豊橋3大学まちづくりハッカソン

9/29(土)、10/28(日)に2018年度豊橋3大学まちづくりハッカソンが開催されました。
豊橋3大学まちづくりハッカソンとは、愛知大学・創造大学・豊橋技術科学大学の学生が主体となって行う、豊橋のまちづくりをテーマとしたハッカソンです。3回目となる今回のテーマは国際化です。
今年はまず9/29(土)にアイディアソンが行われ、そこで出たアイディアをベースに参加者たちは約1ヶ月で開発を行い、10/28(日)に最終成果発表会が行われました。
参加者たちはそれぞれアイディアの実現のためにどのようなデータが必要か考え、独自にデータを集めたりデータを集めるシステムを作成したりと、様々な工夫をしていました。また今回、このハッカソン限定で参加学生が利用できるように豊鉄バス様からGTFSデータをご提供いただきました。GTFSとは、公共交通の時刻表や地理的情報などについての国際的なデータ形式です。活用しやすいCSV形式で、仕様はオープン化されています。このデータを利用したサービスの開発を行った学生もいました。

イベントについては以下のページもご覧ください。

以下では、イベントの様子をご紹介します。

9/29(土):アイディアソン

9/29(土)のアイディアソンは当初は9/29(土)及び9/30(日)の2日間で開催される予定でしたが、あいにく台風が近づいていたため、急遽 9/29(土)の1日のみに短縮される形となりました。愛知大学豊橋キャンパスにて開催されました。
イベントではまず、豊橋技術科学大学の大村先生による主旨説明が行われ、続いて参加者同士の自己紹介が行われました。
そして、アイディアソンに必要となるインプットタイムとして、国際化というテーマについて以下の方々から招待講演をしていただきました。

  • 豊橋市多文化共生・国際課
  • 豊橋国際交流協会
  • 豊橋市観光振興課

国際化に関する話以外にも、豊橋のまちを盛り上げる試みに関する話として、TOYOはしごナイト実行委員会の松尾さんからTOYOはしごナイトについてお話しいただきました。また、Code for MIKAWAの木村さんよりオープンデータやその活用事例の説明がありました。

インプットタイムが終わるとアウトプットタイムです。
ギブリーの村上さんの進行でアイディアソンが行われました。
アイデアの発散をしていくためにまず個人ワークとして、「豊橋×国際化」というキーワードで思いついた言葉をシートに書き込みます。

そしてその言葉を参加者同士で見せ合い、様々な視点、アイディアを共有します。

共有したキーワードから各自、どんなものを作るかアイディアをまとめていきます。
そしてまとまったアイディアを全員で見せ合い、どれを実現したいか投票を行います。

多くの票を集めた4つのアイディアから自分が取り組みたいものを選び、チームに分かれます。
そしてチームごとにその日の成果発表に向けて、アイディアをブラッシュアップしていきました。

各チーム発表
9/29(土)時点で練ってまとまったアイディアを各チームが発表しました。発表の内容は以下の通りです。
チーム名:雨ふりバス停

GTFSデータや過去のバス運行データなどから、天候によるバスの遅延を推定するシステムを作るとのことです。

チーム名:食禁(スーチー)

インドネシアの友人が日本の食べ物は宗教上食べられるのか?と困っていたことがあるため、食べられるものと食べられないもののデータを集めて、それを簡単に調べられるようなシステムを作るとのことです。

チーム名:RSC(リスク)

海外の人が分かりづらい日本ならではのホンネ・タテマエをクイズ形式で学んだり、辞典として確認できるシステムの開発を行うとのこと。

チーム名:トランスレーターズ

難解な三河弁を翻訳するシステムを作るとのこと。

これらのアイディアの実装と発表資料の作成を、10/28(日)の最終成果発表までの約1ヶ月行いました。

10/28(日):最終成果発表会

豊橋創造大学にて、各チームがそれぞれの成果を発表しました。

1チーム目:食禁(スーチー)

宗教上の理由で食べられないものをチェックできるように、宗教名や製品名のキーワードから検索できるAPI「NGFOODS」を作成しました。
成果発表までの間に約200件の食べ物のデータを豊橋在住の留学生から集めたそうです。
今後の展望として、文字を打ち込んでの検索だけでなく画像認識による判別もできるようにする構想や、飲食店検索サイトとの連携によりそのお店が入れる店かどうか確認できるような機能、宗教だけでなくアレルギーなどにも対応する構想を提案しました。また、多言語化にも対応していきたいという構想もあります。
APIのデモを見せてくれました。

2チーム目:RSC(リスク)

日本人特有の「本音」「建前」をクイズ機能や辞書機能により学べるアプリ「本音・建前講座」を開発しました。
クイズ機能は、単に例を読むだけでなく自分で答えることで記憶に残りやすくなるようにという意図で実装したそうです。
辞書はデモ用に10件の例を用意している他、ユーザが新しく例を追加したり、他の人が追加した例に評価をつけたりする機能があり、外国人同士で本音・建前の情報を共有できるようにしています。
それぞれの機能のデモを披露してくれました。

3チーム目:雨降りバス停

バスがどの程度遅れるかを天気や地域のイベントの情報などから予測するアプリを開発しました。
バス停を選び、乗る時刻などを入力すればそのバスが本来来る予定の時刻、実際に到着しそうな時刻を見ることができます。
遅延予測の後、バスが何分遅れたかについてのユーザから報告してもらい、その時の時刻や天気、イベントの有無などを合わせて記録します。そしてそれらを機械学習にかけて予測機の精度を上げることを考えています。
豊鉄バス様からご提供頂いたGTFSデータを活用することで、地図上にバス停の位置を表示させてそれを使ってどこからバスに乗るか指定したり、そのバス停でのバスの本来の到着予定時刻などを調べたりしているそうです。
予測に必要なデータをもっと増やし、精度を上げることが今後の課題とのこと。

4チーム目:トランスレーターズ

三河弁を標準語や英語に翻訳するLINE BOTを開発しました。
音声入力にも対応しているそうです。
データとして三河弁を約200種類ほど収集したそうです。
今後は多言語化にも対応していきたいとのことです。
デモを見せてくれました。

以上の4チームの発表の後、開発コンテストMashup Awardsなどについての招待講演がありました。
そして審査結果の発表です。

結果発表

マップクエスト賞:食禁(スーチー)

Shaxware賞:雨振りバス停

ウェブインパクト賞:トランスレーターズ

商工会議所賞:RSC(リスク)

最優秀賞:トランスレーターズ

結果発表の後、全員で集合写真を撮りました。

今回はどのチームも実用性のある課題に取り組んでいて、それぞれにデータの扱いや技術面、着眼点など違ったところを評価され、全てのチームが何らかの賞を受賞することができました。
出来上がった成果の更なるブラッシュアップや他のコンテストへの応募が期待されます。

また今回、豊鉄バス様にはハッカソンの参加学生のために、本イベント限定でGTFSデータをご提供頂きました!
雨降りバス停チームはそのGTFSデータをうまく活用し、バスに関するアプリを開発して賞を取ることができました。

GTFSは北米、欧州を中心に世界中で幅広く利用されており、日本でも先進的な一部の地域から今後全国へと利用が広がっていくものと考えられます。Googleをはじめとする多くのところで活用されており、公共交通のデータを扱う標準フォーマットへなりつつあります。
GTFSデータが利用できると、バス停の位置やバスが来る時刻、そのバスの通過時刻表などがわかる他、乗り換えなどを調べることが容易になります。
またGTFSデータをGoogleに提供することで、Googleマップでその交通機関の情報が案内されるようになり、他の交通機関との乗り換えなども容易に調べられるようになり、効果的なインバウンド対策にもなり得ます。
さらに今、日本でも一部の先進的な地域からGTFSデータをオープンデータとして公開する流れが出てきており、これによって様々なアプリやサービスでGTFSデータが活用され、交通の利便性を大きく高めていくことが期待できます。

雨降りバス停チームはGTFSの他にも、豊橋市のイベントのオープンデータも使い、バスの混雑度の要因として、その日のイベントの有無も考慮に入れています。
様々なオープンデータが公開され、それらをマッシュアップする(複数の異なる技術やデータを組み合わせて新しいサービスを形作る)ことで、その使い方は様々に、可能性は無限にあるなと感じさせてくれました。

当カタログサイトに掲載されたオープンデータを活用したアプリやサービスが生まれ、この地域がもっと便利に、さらに豊かになっていることを期待しています。